PYRAMIDとは?

このタイトルは作品が完成するに至るかなり最後の段階で付けられました。
つまり、先ずタイトルありきで構想されたものではなく、作られた音世界と世界観を思い起こさせるキーワードとして選ばれています。
長い時間の流れと大きな空間、そういったものと、瞬間の極小のミクロコスモスを同時に感じられるような、そういったことが総ては繋がっていて、時間と空間の縦糸と緯糸に縫い込まれて出来上がっている世界に在るとの実感を持つような、そんな何かをシンボリックに言い表す感じをと考えました。
この作品の原案者、勝井が考えた最初のタイトルは「川の流れのように」でしたが、他のメンバーに諭されて変更。「VIDA」「SONGLINE」「SPEED WHITE」「キャラコ」「WOOF and WARP」「華厳」など様々な候補を経て、「WEB」に決まりかけて「PYRAMID」に至ります。
なので、エジプトのピラミッドやピラミッドパワーとか、宇宙人やUFOとは直接は関係してません。もちろん全く関係無い事もない。いろんなイメージや言葉にまつわる記憶は、やっぱり繋がっているんじゃないかと。


Text by 勝井祐二



"MAN DRIVE TRANCE" LIVE REVIEW.
ROVO
4月27日、新宿リキッドルームのROVO圧巻ライヴ!

Text by 小野島 大
((( 小野島 大ホームページ )))

 阪神14年ぶりの9連勝で単独首位!薮エライ!……てなこともあった4月27日、新宿リキッドルーム『MAN DRIVE TRANCE』に言って参りましたよ。
 期待の注目株レッド・ビーンズ、久々バッファロー・ドーター、そして驚愕の新作『PYRAMID』ひっさげて登場のROVOのジョイントとなったイヴェントだが、会場は立錐の余地もないほどの超満員。雑誌などマスコミにも滅多に登場せず、どちらかといえばマニア受けしそうなバンドばかりが集まったライヴなのに、この盛況には驚いた。マスコミでもてはやされる動きとはまったく異なるところで、なにかとんでもないムーヴメントが生まれつつあるという実感がひしひしと感じられたのである。
 まずはバッファロー・ドーター。現在新作をレコーディング中ということで、そこからの新曲も織り交ぜつつのライヴ。かつてなくヘヴィーでノイジーなライヴに少し驚いた。従来の彼女ららしいどこか愛嬌のある脱力ぶりがあまり感じられなかったのは、少し残念な気もしたのである。ともあれ新作を楽しみにしたいところ。
 そしてROVO。開演前に会った友人は「奴らはダンス・ミュージックの心がわかるプログレッシヴ・ロックだぁ!」と絶叫していたが、まさにそんな感じだ。並はずれた演奏力と構成力。1時間強、ほとんどノン・ストップで、ハイ・テンションの演奏を繰り広げるすさまじい集中力。しかも、緩急心得たダンス・ビートの連続攻撃で、とことん観客を踊らせまくる。確かにこんなバンド、ほかにはボアダムスぐらいしか思い浮かばない。
 トランシーなビートに身を委ねるうち理性のタガが外れて、頭の中から不純物が吹き飛ばされて空っぽになっていくような感覚が、死ぬほど気持ちいい。螺旋階段を猛烈な勢いで駆け昇っていくように、どんどんテンションが高まっていく。特に終わり近く、ドラムスのブレイクのあとの展開は、オーガズムにも似た快感だったのだ。
 日本のロックが英米を凌駕して一番おもしろくなっていることは、もはや自明のことである。そして、ROVOらがその先頭を切って突っ走っていることもまた、まちがいない。マジに、一度でいいから体験してみてくださいね。人生が変わるかもよ。


〜 ソニーマガジンズ「UV」Vol.55号より抜粋