ピュアすぎるとつくりもののような気がして現実味が薄い。毒を吐きたくなっちゃうし、自虐ネタも満載だし、強がりばかり言っちゃうんだけど、本当はかわいくありたいの。なんて、女子のリアルな内情を歌うHAPPY BIRTHDAY。11月25日(金)。彼女たちの初のワンマンライブ「ファーストキス」が下北沢CLUB Queで行われた。

開演予定時刻の19時過ぎ。客電が落ちると、きさ(Vo/G)とあっこ(Dr)の2人がしっかり手をつなぎ、愛らしい笑顔を浮かべながらステージ上に姿を現した。サポートのギターとベースが登場すると、1曲目の「秘密のじかん」を披露。2曲目の「デリケートゾーン」まで、華奢な体でエレキギターを手にしていたきさは、3曲目の「だきしめて怪獣くん!」でハンドマイクになる。悲しい歌詞は、思い切り切ない表情で歌うきさが印象的だ。次第にライブの流れが穏やかになっていくにつれて際立つのが、あっこ。体中で伸びやかにドラムを叩く姿は、見ていてとても気持ちがいい。 と思っていたら、中盤であっこがキーボードの前に。きさが「あっこがピアノが弾けるっていうから(笑)」と。きさのギターとあっこの鍵盤の音色にのせて、「君は灰色あたしはオセロ」と、平凡な日々が特別な日々だと思って書いた、ときさが言う「特別な日々」の2曲を演奏。 再び4人のバンド編成でステージは進む。きさの「SHIT!」で聴かせるウィスパーヴォイスはキュートだし、ハスキーヴォイスもステキ。もちろんノーマルな愛らしい声も魅力的だと思う。加えて、あっこのドラムは、ますます手首のスナップが滑らかになっていくし、バスドラの厚みも増していく。そして、きさも最前列の観客の頭をナデナデしたり、ふんわりロングヘアーを振り乱しながらヘッドバンキングをかましてみたり、観客を煽っていく。2人はもちろん、観客のモチベーションも次第に上がっていく。
そして、本編ラストは「しゃかいのごみのうた」。右手で両目を隠しながら歌うきさ。きさは後奏でバスドラの上に乗り、あっこのフィニッシュとともにジャンプをするお転婆娘ぶりを発揮。自虐の歌にのせたパフォーマンスは圧巻、パンツ(正しくはレギンス)が見えても気にしない、今どきのヤングな女子っぷりも好感度大である。アンコール2曲を終えたHAPPY BIRTHDAYのライブは約1時間30分ほどで終了した。

アンコール2曲を含め、インディーズ盤のアルバム『デートに行けない日曜日』とメジャー1stアルバム『ファーストキス』収録の全16曲を歌い切ったHAPPY BIRTHDAY。この日のきさのMCで「みんなで遊びましょう」とあったように、終始、肩肘を張らずに会場にいるみんなが楽しんだステージだったと思う。初ワンマン故に、演奏の荒々しさはあったものの、肝っ玉のすわった堂々たる姿勢はお見事。次回のワンマンライブではどのように成長しているのか、とても楽しみだ。

Text:橋本 恵理子

■セットリスト
1.秘密のじかん
2.デリケイトゾーン
3.だきしめて怪獣くん!
4.初恋
5.つまらない先輩は白いズボンを履いている
6.君は灰色あたしはオセロ
7.特別な日々
8.ポーラはなにもわからない
9.SHIT!
10.閃光
11.こころの王様
12.エピローグ
13.光る記憶
14.しゃかいのごみのうた
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